マツダ車の下取り額が二束三文といわれたのは過去のこと?~マツダ地獄の脱却で高額査定が期待できるか

「マツダのクルマは下取り額が安い」と、かつては誰もが思っていました。

かつてのマツダのクルマは、新車購入時に大幅な値引きをすることが多かったために、下取りのときの査定額が他のメーカーのクルマにくらべてかなり安くなってしまったのです。

ただし、他メーカーのディーラーでは驚くほど低い査定額しか提示してくれなかったマツダ車であっても、マツダのディーラーに持って行くと高額な査定額を提示してくれました。

そのため、一度マツダのクルマに乗ると、他のメーカーのクルマに乗りかえることができずに、そのまま乗り潰すが再びマツダの新車を購入するしか選択肢がありませんでした。

このように、マツダのクルマをずっと乗り続けるループから脱却できなくなってしまう状況を、業界では「マツダ地獄」などと呼んでいました。

しかし、それはあくまでも過去の話であり、現在のマツダ車は、他のメーカーのクルマと比較しても極端に査定額が低くなることはないといわれています。

はたして、それは本当なのでしょうか?

ここでは、現在のマツダ車の査定額が他社とくらべて本当に差がないのかについて、さまざまな車種を例に検証してみたいと思います。

SKYACTIVテクノロジーでマツダ地獄を脱却した?

マツダが大幅値引きによる新車販売戦略に終止符を打ったのは、2012年にCX-5が登場して以降のことです。

CX-5は、SKYACTIVテクノロジーを全面搭載することによって商品力を大幅に向上させることに成功したため、極端な値引きをしなくても売れるようになったのです。

参考:SKYACTIVテクノロジー
     
商品価値があがって値引きをしなくても売れるようになれば、下取り相場が極端に値崩れすることはなくなります。

下取り相場が、マツダ以外のどこのディーラーに持ち込んでも納得できるレベルであれば、他のメーカーのクルマに乗りかえることも可能になりますので、マツダ地獄は脱却できることになります。

SKYACTIVテクノロジーを全面搭載したCX-5が登場した2012年以降に、本当にマツダ地獄は終止符を打ったのかどうか、実際の下取り相場をもとにみていくことにしましょう。

CX-5の査定額はライバル車とくらべて高いか安いか?

マツダ地獄脱却の救世主となったといわれるCX-5の買取相場について、ライバル車であるエクストレイルやフォレスターと比較をしてみたいと思います。

2014年に新車で購入したクルマを、2019年に5年落ちで買取り専門店に売却するときの査定額で検証することにします。

走行距離は、5年落ちのクルマとしては標準的な5万kmで想定しています。

CX-5(グレード20S_FF):95万円~121万円
(新車価格:222万円)

エクストレイル(グレード20X_FF):100万円~127万円
(新車価格:232万円)

フォレスター(グレード2.0i-L_4WD):98万円~125万円
(新車価格240万円)

CX-5とエクストレイルの買取り価格をくらべてみますと、わずかにエクストレイルの方が高くなっています。

しかし、新車時の価格がエクストレイルの方が10万円ほど高くなっていますので、リセールバリュー的には大差ないといっていいでしょう。

CX-5とフォレスターをくらべてみますと、ほぼ同じくらいの査定額となっています。

ただ、CX-5がFFなのに対してフォレスターはフルタイム4WDで、新車価格もCX-5より18万円ほど高くなっていますので、リセールバリュー的にはCX-5の方が高いといえます。

この3台の買取相場を比較した限りでは、マツダのクルマだけが査定額が低いという印象はありません。

やはり、2012年にCX-5がSKYACTIVテクノロジーを全面搭載して以降は、買取り市場でのマツダ車の評価は確実に上がっているといえそうです。

3年落ちのデミオとライバル車の買取り価格を比較

マツダのコンパクトカーであるデミオと、ライバル車であるフィット、ヴィッツの3車種で買取り価格を比較してみましょう。

2016年に新車登録をして、3年落ちとなる2019年に走行距離3万kmで買取り専門店に売却することを想定して査定額を算出しています。

デミオ(グレード13S):60万円~76万円
(新車価格:145万円)

フィット(グレード13G_Fパッケージ):58万円~75万円
(新車価格:142万円)

ヴィッツ(グレード1.3F):68万円~88万円
(新車価格145万円)

デミオとフィットの売却額にはほとんど差がありませんが、ヴィッツは他の2台よりも査定額が高くなっています。

3台とも新車価格はほぼ同じですので、単純にヴィッツが一番リセールバリューの高いクルマということになります。

やはり、コンパクトカーであっても、トヨタブランドのリセールバリューの高さは健在といったところでしょうか。

ただ、デミオもフィットも3年落ちにもかかわらず、買取り価格が新車価格の40%~52%程度となっていますので、リセールバリューが高いとはいえません。

CX-3とヴェゼル・スバルVXの査定額をくらべてみる

CX-5と同じSUV車で、ワンランクサイズが小さいCX-3について、ライバル車であるホンダのヴェゼル及びスバルXVと買取り価格を比較してみたいと思います。

2016年に登録した車両を、2019年に3年落ちで売却するときの査定額になります。

走行距離は、3年落ちとしては標準的な3万kmを想定して算出しています。

CX-3(グレード):122万円~156万円
(新車価格:237万円)

ヴェゼル(グレードXホンダセシング):125万円~160万円
(新車価格:212万円)

スバルXV(グレード2.0i):114万円~146万円
(新車価格223万円)

これらの3車は、ライバル車とは言ってもスペック的にはかなり異なっています。

CX-3のエンジンが1.5Lのディーゼルターボなのに対して、ヴェゼルは1.5Lのガソリンエンジン、スバルXVは2Lのガソリンエンジンとなっています。

また、CX-3とヴェゼルがFFなのに対して、スバルXVは4WDです。

これだけエンジンや駆動方式の仕様が違うと単純には比較できませんが、CX-3が新車価格の51%~66%、ヴェゼルが59%~72%、スバルXVが51%~65%となり、3車の中ではヴェゼルのリセールバリューが一番高くなっています。

CX-3とスバルXVはほぼ同じといっていいでしょぅ。

この結果をみても、先ほどの2つの事例と同様に、マツダ車の査定額だけが特に低いという印象はありません。

8年落ちのビアンテの買取り価格で検証してみる

上記で検証した5年落ちのCX-5と3年落ちのデミオ、そして3年落ちのCX-3は、いずれもSKYACTIVテクノロジーが全面搭載されたあとのモデルでした。

それ以前のマツダのクルマは、本当に他メーカーのライバル車とくらべて査定額が極端に低いのかどうか確認してみたいと思います。

2011年に新車で購入したビアンテを、2019年に8年落ちで買取り専門店に売却をするときの相場を、ライバル車種であるヴォクシー及びステップワゴンと比較をしてみたいと思います。

走行距離は、8万kmとして査定額を算出しています。

ビアンテ(グレード20S):32万円~41万円
(新車価格:250万円)

ヴォクシー(グレード ZS):52万円~67万円
(新車価格:249万円)

ステップワゴン(グレードL):48万円~61万円
(新車価格240万円)

3台を比較してみますと、確かにビアンテの買取相場はヴォクシーやステップワゴンとくらべて低くなっています。

ヴォクシーの買取相場が新車価格の21%~27%、ステップワゴンが20%~25%なのに対して、ビアンテは13%~16%とあきらかにリセールバリューは低くなっています。

ただ、マツダ地獄といわれていたころのマツダ車の査定額はもっと厳しかったイメージがありますので、8年落ちで走行距離が8万kmのビアンテが32万円~41万円であれば、それほど不満は感じないかも知れません。

SKYACTIVテクノロジーが全面搭載されて以降、マツダのメーカーとしてのイメージがアップしたために、2012年より前に作られたクルマの評価も全体的に底上げされているのかも知れません。

これらの検証結果から、マツダ地獄はいまや存在しないといってもいいでしょう。

文:山沢達也