スバル1000~数々の革新技術が搭載されたスバル初の小型乗用車

1966年5月に発売が開始された「スバル1000」は、さまざまな革新技術を引っ提げて登場したクルマでした。

国産車で初めての本格的なFF方式(フロントエンジン・フロントドライブ)や、水平対向エンジン、量産アルミエンジンなどの採用によって、発売前に行われた12回東京モーターショーでも高い注目をあびていました。

1958年に発売されて大ヒットとなった「スバル360」の成功を背景として、満を持して開発されたスバル初の小型自動車が「スバル1000」ということになります。

ここでは、スバル1000の魅力について、じっくりと探ってみることにしましょう。

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小型乗用車では後発となった富士重工業が送り込んだ刺客がスバル1000

日本初の本格的な軽自動車として発売された「スバル360」で成功をおさめた富士重工業ですが、小型乗車の分野では他のメーカーに後れをとっていました。

そこで、さまざまな革新技術を盛り込んで、他のメーカーに殴り込みをかけることになったのがスバル1000ということになります。

スバル1000にはどのような革新技術が盛り込まれていたのでしょうか?

当時としては非常にめずらしいフルモノコック構造のボディを採用

クルマのボディというのは、大きく分けると「ラダーフレームボディ」と「モノコックボディ」の2種類に分けられます。

ラダーフレームボディというのは、文字通り梯子のような形の鉄骨でクルマの台車ともいうべき部分を構築するものです。

クルマの原点ともいえる馬車の時代から採用されている方式で、強度的に非常に強いのが特徴です。

しかし、鉄骨によって梯子型のフレームを組むわけですから、どうしても車重が重くなってしまうという欠点があります。

そのため、現在ではクロカンやSUV、トラックやバスなどの1部のクルマにしか採用されていませんが、スバル1000が発売された当時のクルマは、このラダーフレーム構造のクルマが主流でした。

そんなラダーフレームがあたり前の時代に、スバル1000は「フルモノコックボディ」という現在主流となっている方式を採用して登場しました。

フルモノコックボディといのは、クルマの床やピラー・屋根といった、クルマのボディ全体を骨格として強度を持たせる構造になります。

ラダーフレームのように、頑丈な鉄骨による梯子状の骨格がないので、軽量化できるというメリットがあります。

また、ボディ全体で衝撃を吸収することができるので、衝突安全性も高いといわれています。

ちなみに、日本で最初のモノコックボディを採用したクルマは、スバル1000に先駆けて発売された「スバル360」になります。

国産車で初めての本格的なFF方式を採用したスバル1000

現在のクルマの多くは、FF方式(フロントエンジン・フロントドライブ)を採用しています。

つまり、運転席の前側にエンジンを搭載して、前輪を駆動させる方式です。

ところが、スバル1000が発売された当時は、後輪を駆動させるFR方式(フロントエンジン・リアドライブ)が主流でした。

しかし、FR方式の場合、エンジンを縦に積むことになることや、床下のど真ん中を、後輪を駆動させるためのプロペラシャフトが通ることになるために、どうしても室内が狭くなってしまいます。

特に、後部座席の真ん中に座る人は、床の「もっこり」と盛り上がった部分によって足元が狭く感じてしまいます。

ところが、FF方式であればそういった床の「もっこり」がありませんから、室内はスッキリとしています。

また、FFの場合は、エンジンを横向きに積むことができますので、ボンネットの長さを短くすることが可能で、室内のスペースを広くとることができます。

この「FF」という言葉も、いまは誰もがあたり前のように使っていますが、実は富士重工業から生まれた言葉なのです。

ちなみに、スバル1000に先駆けて富士重工業から発売されていた「スバル360」は、RR(リアエンジン・リアドライブ)という、現在の国産車では見ることのない変わった方式を採用していました。

世界的に見ても、現在このRR方式を採用しているのは、ポルシェ911などごくわずかなクルマに限られます。

国産車初の4気筒水平対向エンジンを搭載したスバル1000

スバル1000には水平対向4気筒という、当時としては非常にめずらしいエンジンが採用されていました。

水平対向エンジンというのは、シリンダーを左右に振り分けて180度開いた状態になったエンジンのことをいいます。

参考記事:スバルはなぜ水平対向エンジンにこだわり続けるのだろうか?

過去には、トヨタのパブリカなどに水平対向2気筒エンジンが採用されたことがありましたが、水平対向4気筒エンジンが採用されたのは、スバル1000が国産では初めてということになります。

水平対向エンジンは、シリンダーがフラットに寝た状態になっているために、クルマの重心が低くなり、走行性能が向上しやすいというメリットがあります。

また、ピストンの動きによって生じる振動を、左右のピストンがお互いに消し合うために、振動が少なくスムーズに回るのも水平対向エンジンの特徴です。

スバルでは、この「スバル1000」の発売以降も、ずっと水平対向エンジンにこだわり続け、現在発売されている車種の多くも、この水平対向エンジンを採用しています。

電動ファンによるデュアルラジエーター方式も国産初採用

現在のクルマは、電動ファンによってラジエーターを冷却する方式が常識になっています。

しかし、スバル1000が発売された当時は、電動ファンではなく、エンジンからの出力で直接冷却ファンを回してラジエーターを冷却していました。

そんな当時の常識をくつがえして、スバル1000は、電動ファンによってサブラジエーターを冷却するというデュアルラジエーター方式を採用しています。

エンジンで直接冷却ファンを回さないことにより、エンジンパワーのロスが2~3馬力程度少なくなるとされています。

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1.5リッタークラスの動力性能と2リッタークラスの室内

スバル1000は、フルモノコックボディの採用や、アルミ製のエンジンを採用することで、車重を軽くすることに成功しました。

その結果、わずか1000ccの排気量ながら高い動力性能をほこりました。

また、FF方式の採用によって、室内の広さも当時の2000ccクラスに匹敵するものとなっています。

スバル1000の車両重量はわずか695kgしかありませんでした

スバル1000は、当時主流だったラダーフレームを採用せずにフルモノコックボディとしたことや、エンジンにアルミを採用したことなどにより、車両重量はわずか695kgしかありませんでした。

ちなみに、スバル1000と同じ排気量のトヨタヴィッツの1000ccモデルの重量は970kgとなっていますので、いかにスバル1000が軽かったかがお分かりになるかと思います。

そういった軽量ボディのおかげもあって、スバル1000は当時の1500ccクラスのクルマと同等の動力性能を発揮しました。

水平対向4気筒OHVの1000ccエンジンの出力はわずか55psでしたが、スバル1000の最高速度は130km/hに達しました。

その後、1967年に登場した「スバル1000スポーツセダン」は、エンジンをツインキャブレター仕様としたことにより最高出力は67psまでパワーアップされました。

その結果、最高速度は150km/hに達し、スタートから400mに達するまでのタイムであるゼロヨンも18秒4と、とても1000ccのクルマとは思えないほどの俊足ぶりでした。

FF方式により当時の2000ccクラスなみの室内の広さを誇ったスバル1000

FF方式を採用し、なおかつ長いホイールベースを採用したスバル1000の室内は、FR方式を採用していた当時の2000ccクラスのクルマに匹敵するほどの広さがありました。

特に、後部座席の足元の広さは、プロペラシャフトのトンネルがなかったことにより、同クラスのクルマのなかでも最大級の広さを誇りました。

もちろん、ボディ全体のサイズが大きかったということではありません。

当時の1000ccのクルマとしては標準的なサイズで、全長3930mm、全幅1480mm、全高1390mmとなっていました。

また、スバル1000のトランクスペースも、他社の同クラスのクルマにくらべて非常に広いものになっていましたが、それには明確な理由がありました。

本来であればトランクルームにおさめられるはずのスペアタイヤを、スバル1000はなんとエンジンルームに搭載していたのです。

高さの低い水平対向エンジンを積んだことにより、エンジンルームの上部にスペースができたために、そういったことが可能になったわけです。

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