高速道路120km/h時代に軽自動車やコンパクトカーは対応できるのか?

高速道路の様子現在、日本の高速道路の法定速度は100km/hとなっています。

実は、高速道路での法定速度が100km/hというのは、先進国の高速道路のなかではもっとも低い数字となります。

ドイツのアウトバーンには速度無制限の区間がありますし、フランス、イタリア、オーストリアなどの高速道路は130km/hが法定速度となっています。

スイスやスペインなどは120km/hですし、アメリカの75マイル制限の州も120km/hと考えていいでしょう。

そんななか、日本の高速道路もいよいよ他の先進国なみに法定速度を引き上げようとしています。

将来的に法定速度を120km/hに引き上げることを前提にして、2017年11月1日より、新東名高速の新静岡インターチェンジ~森掛川インターチェンジ間の約50km区間の法定速度を、試験的に110km/hに引き上げることになりました。

しかし、高速道路の法定速度が120km/hとなった場合、コンパクトカーや日本独自の規格である軽自動車は、安全に走行をすることができるのでしょうか?

高速道路の合流レーンの長さはいまのままで十分なのか?

100km/hから120km/hへの速度アップといっても、わずか2割の速度アップですから、たいしたことではないと思う人もいることでしょう。

しかし、速度が2割アップするとなると、クルマを走らせるのに必要なエネルギーは1.44倍となりますし、速度が増すにつれて空気の抵抗も大きくなります。

そのため、クルマの速度が100km/hまで達するのにかかる時間と、120km/hに達するまでにかかる時間には想像以上の開きが生じることになります。

たとえば、代表的なコンパクトカーであるトヨタのヴィッツが、スタートしてから100km/hに達するまでの時間は、ベストカーのデータによると13秒03です。

これが、スタートから120km/hまでとなりますと、18秒03となり、5秒もよけいに時間がかかることになります。

速度のアップはわずか20%ですが、そこに到達するまでにかかる時間は38%も余分にかかってしまうのです。

日産デイズ次に軽自動車であるデイズ(ノンターボ)でみてみますと、スタートから100km/hに達するまでの時間は21秒70です。

これがスタートから120km/hに達するまでには、34秒94もの時間がかかってしまうのです。

つまり、20%の速度アップのために61%も余分に時間がかかってしまうのです。

ノンターボの軽自動車にとって、スピードを120km/hまで上げるというのは、思った以上にハードルが高いようです。

こういったことを冷静に考えてみたときに疑問になるのが、高速道路の合流レーンの長さは本当に今のままでいいのかという点です。

120km/hの速度で流れている本線に、十分に加速してきれていないクルマが合流するというのは危険を伴います。

特に女性ドライバーのなかには、一気に加速をさせることが苦手な人もいるため、高速道路120km/h時代になると合流に恐怖を感じるという人も少なくないでしょう。

実際にあるアンケートによりますと、「制限速度が引き上げられると高速道路を走るのがいまよりも不安になるか」という質問に対して、そう思うと答えた人が男性では42.1%なのに対して、女性では68%にも達しています。

たかが法定速度を20km/h上げるだけと思うかも知れませんが、思った以上に奥は深そうです。

日本の独自規格である軽自動車が高速道路を120km/hで走るリスク

日本の自動車メーカーは、高速道路の法定速度は100km/hであるということを前提に、クルマの設計をしているはずです。

もちろん、設計時にある程の余裕は見込んでいるはずですので、120km/hで走ったからといって必ずしも危険な状態になるということはないでしょう。

特にある程度の大きなサイズのクルマであれば、高速道路の法定速度が日本よりも高い海外への輸出を視野に入れて設計をしていることも多いため、安全性能の面で問題になることはそれほどないと思います。

ところが、軽自動車の場合には、日本独自の規格によって日本国内でのみ販売することを前提に設計をしていますから、はたして高速道路120km/h時代に十分対応できるだけの安全性能が確保できているかどうかは疑問です。

タイヤの幅をみても、2000ccクラスのクルマであれば195mm~205mm程度が標準なのに対して、軽自動車の場合は155mmが標準です。

タイヤのサイズが細くなれば、路面との接地面積が少なくなりますから、走行速度が高くなればコーナリング性能的に不安定になります。

もちろん、日本の高速道路の法定速度が120km/hということになれば、メーカーもそれに合わせて車を設計することになるでしょう。

しかし、公道を走る車というのは、高速道路120km/h時代にマッチした最新の車種ばかりではありません。

10年以上前に作られたクルマも、同じ道路を走っているわけです。

そういったことを考えた場合、高速道路の法定速度を100km/hからいきなり120km/hにあげるというのは、それなりのリスクを伴うことになると容易に想像ができると思います。

ちなみに平成12年9月までは、軽自動車の高速道路での法定速度は80km/hでした。

それが平成12年10月1日に普通車と同じ100km/hに引き上げられたわけです。

つまり、平成12年9月以前と比較した場合、軽自動車の高速道路での法定速度は40km/hもアップすることになるのです。

もちろん、平成12年9月以前に作られた古い軽自動車も、高速道路を120km/hで走行してもいいことになるわけです。

速いクルマと遅いクルマの速度差が生じるという問題

現在、日本の高速道路の法定速度は100km/hですが、だからといって必ずしも100km/hで走らなければならないということではありません。

高速道路の最低速度は50km/hとなっていますから、それ以上のスピードで走っていれば違反になることはありません。

走行速度の違いによる速度差しかし、実際に高速道路を走った経験がある方はお分かりかと思いますが、高速道路を50km/hのスピードで走るのは命がけです。

他のクルマが100km/h程度で走っている道路を、1台だけ50km/hで走ることになると、その速度差は50km/hにもなります。

自分以外のクルマとの速度差が50km/hもある状態で走り続けるということは、車線変更などのときに、かなりの危険を伴うことになります。

つまり、高速道路というものは、ある程度は流れに沿って走らないと危険が伴うということになるわけです。

そのため、高速道路を50km/h程度のスピードで走っているクルマはまず見かけませんが、70km/h~80km/h程度で流しているクルマはよく見かけます。

つまり、法定速度である100km/hで走っているクルマとの速度差は、20km/h~30km/hということになります。

ところが、高速道路の法定速度が120km/hに引き上げられた場合、70km/h~80km/h程度で流して走っているクルマとの速度差は、40km/h~50km/hにもなってしまうのです。

これは、法定速度が100km/hである現在の高速道路を50km/h~60km/hで走るときに生じる速度差と同じです。

高速道路が120km/h時代になると、70km/h~80km/hの速度で流して走ることが命がけとなってしまう可能性もあるわけです。

軽自動車で追い越しをすることは困難になってしまう?

軽自動車のエンジンは660ccしかありませんから、普通車とくらべるとどうしてもパワー不足となります。

パワー不足の問題が顕著に表れるのが、高速道路で追い越しをするときです。

たとえば、前方を80km/hで走っているクルマを追い越そうと100km/hまで加速させるのと、100km/hで走っているクルマを追い越すために120km/hまで加速させるのとでは、エンジンにかかる負担はまったく異なります。

同じ20km/h加速をさせるだけですが、速度が上がれば上がるほど加速をさせるためにかかる時間は長くなります。

スピードを2割アップさせるためにはエネルギーは1.44倍必要になりますし、空気の抵抗もどんどん厳しくなっていくからです。

さらに、80km/hで走っているクルマを追い越そうと120km/hまで加速をする場合、40km/hのスピードアップが必要になります。

日産のデイズで80km/hから120km/hまで加速させるためには、21秒75もかかってしまいます。

ちなみにコンパクトカーであるヴィッツが80km/h~120km/hまで加速するのに要するタイムが10秒ですから、それとくらべてみても、高速道路120km/h時代に軽自動車での追い越しはかなり厳しいということがお分かりになるかと思います。

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