マツダの「SKYACTIV X」という究極のエンジン~ディーゼルとガソリンの良いとこ取り?

マツダ車搭載エンジン2017年8月8日にマツダから発表された「SKYACTIV X」というエンジンが話題になっています。

「SKYACTIV X」は、ガソリンエンジンにディーゼルエンジンの長所を取り入れた究極のエンジンと噂されています。

ガソリンエンジンにディーゼルエンジンの燃焼システムを採用することで誕生したマツダの「SKYACTIV X」ですが、はたしてどのようなエンジンなのでしょうか?

これまでのガソリンエンジンと比較した場合のメリットや、その仕組みなどについて解説をしてみたいと思います。

ディーゼルとガソリンエンジンの両方のメリットを実現

ガソリンエンジンにもディーゼルエンジンにも、それぞれメリットとデメリットがあります。

ガソリンエンジンの最大のメリットは、高回転までエンジンが回ることで高出力を得られやすいという点にあります。

また、排気ガスもディーゼルエンジンとくらべてクリーンです。

それに対して、ディーゼルエンジンのメリットは、燃費がよく低回転域でのトルクが強くレスポンスがいいという点があげられます。

これらのエンジンのメリットは、それぞれのエンジンのお互いのデメリットでもあるわけです。

ガソリンエンジンは、ディーゼルエンジンとくらべて燃費があまり良くなく、低速域でのトルクが細くレスポンスがあまり良くありません。

また、ディーゼルエンジンは、高回転までエンジンが回らないために高出力を得にくく、排気ガスもガソリンエンジンほどクリーンではありません。

次世代エンジンの特徴

これらの、お互いのエンジンのデメリットを打ち消し合い、両方の良いとこ取りをしてしまったのが、まさに究極のエンジンといわれる「SKYACTIV X」なわけです。

ただし、「SKYACTIV X」はガソリンを燃料とするエンジンですから、カテゴリー的にはあくまでもガソリンエンジンということになります。

これまでのエンジンとくらべてどれくらいの性能差があるのか?

ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの両方の良いとこ取りをしたマツダの「SKYACTIV X」ですが、これまでのエンジンと比較して具体的にはどれくらいの性能差があるのでしょうか?

レスポンスや燃費など、実際にマツダから提供されたデータをもとにみていきましょう。

・アクセルを踏み込んだときのレスポンスの良さ

「SKYACTIV X」の特徴の1つに、アクセルを踏み込んだときのレスポンスの良さがあげられます。

メーカーからは、他社のダウンサイジングターボを搭載したクルマと比較した以下のようなデータが提供されています。

初期レスポンスの良さ

40km/hのスピードで走行している状態から一気にアクセルを踏み込んだ場合、3秒後には「SKYACTIV X」を搭載したクルマの方が1.7mほど先に進んでいることがこのデータからお分かりいただけるかと思います。

こういったレスポンスの良さは、追い越しをするときなどに余裕が生じることになりますので、結果的に安全に運転できることにつながることになります。

・高回転域までスムーズに回る「SKYACTIV X」

低速域ではトルクがありレスポンスよく走るディーゼルエンジンですが、高回転域は非常に苦手です。

以下は、マツダのディーゼルエンジンである「SKYACTIV D」の出力曲線ですが、2,500回を過ぎるとトルクが一気に落ち込んでいるのがお分かりになるかと思います。

「SKYACTIV D」の出力曲線

それに対して、「SKYACTIV X」であれば、以下の曲線のように高回転まで回しても、極端なトルクの落ち込みはなくなります。

「SKYACTIV X」の出力性能

つまり、低速から高速までレスポンスよくスムーズに回る、まさに究極のエンジンということになるわけです。

・燃費も現在のガソリンエンジンと比較して20~30%改善

「SKYACTIV X」が究極のエンジンといわれるのは、レスポンスが良いことや高回転まで回ることなど、単に走りに関係する部分だけではありません。

燃費に関しても、これまでのガソリンエンジンにくらべて圧倒的に良くなっています。

現在のマツダのガソリンエンジンである「SKYACTIV G」と比較して、20%~30%改善になるとのことです。

たとえば、現行のガソリンエンジンである「SKYACTIV G」を搭載するデミオの燃費がJC08モードで24.8km/Lとなっていますから、仮にデミオのエンジンが「SKYACTIV X」に置き換わったとしたら、単純に30km/L~32km/Lも走ってしまう可能性があるわけです。

トヨタアクアの標準グレードであるSの燃費が34.4km/Lですから、まさにハイブリッドカーに迫る燃費の良さです。

究極のエンジンという表現は決して大げさではないということが、このことからもお分かりなるかと思います。

プラグで点火するガソリンエンジンと自然着火のディーゼル

なぜそのようなことが可能になったのかを説明する前に、まずはガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違いについて簡単に説明をしておきます。

ガソリンエンジンの場合には、ガソリンと空気が混ざった混合気をピストンで圧縮し、そこにプラグで点火をして燃焼させています。

それに対して、ディーゼルエンジンの場合には、混合気ではなく空気のみを高い圧力をかけて圧縮し、高温になった状態の空気に燃料を噴射することで自然着火させます。

そのため、ディーゼルエンジンにはプラグがないわけです。

ガソリンエンジンの場合には、混合気に対してプラグで点火をするために、着火点がピンポイントとなってしまいます。

そのため、シリンダー内全体の燃焼が完了するまでに時間がかかってしまったり、燃え残りが出てしまったりする点がデメリットとなっています。

一方、ディーゼルエンジンの場合には、噴射された燃料は圧縮された空気に触れた瞬間から燃えることになりますが、シリンダー内の空気と燃料は混合気のように完全に混ざり合っているわけではありません。

そのため、噴射装置の周りでは燃料が多すぎて酸素が不足し、逆に噴射装置から離れた場所では燃料が不足して酸素があまることになります。

その結果、排気ガス中に一酸化炭素や炭化水素、窒素化合物といった有害物質を発生させてしまうことになるのです。

高圧縮してプラグで着火する「SPCCI」という燃焼方式

ガソリンエンジンには、シリンダー内の混合気が完全に燃焼するまでに時間がかかり、しかも空気と燃料の比率が理想的な状態になっていないと完全に燃えないという難点があります。

その一方で、ディーゼルエンジンは、圧縮した空気のなかにあとから燃料を噴射するために、シリンダー内で空気と燃料の撹拌がうまくいかないという難点があります。

そういったガソリンエンジンとディーゼルエンジンの問題点を解決したのが、今回のマツダから発表された「SKYACTIV X」ということになります。

シリンダー内の圧力を自然着火するギリギリまで上げておいて、最終的にはプラグで着火して燃焼させるという方法でこれらの問題を解決したわけです。

まさにコロンブスの卵のような発想ですが、この燃焼システムをマツダでは「SPCCI」と名付けました。

「Spark Controlled Compression Ignition」の略で、日本語に直すと、「火花点火制御圧縮着火」ということになります。

マツダ燃焼システム「SPCCI」

究極のエンジンなのにコスト的にはそれほど高くない?

究極のエンジンなどというと、コスト的にも割高で高級車にしか採用できないのではないかと思ってしまいがちですが、どうもそうではないようです。

普通のガソリンエンジンと「SKYACTIV X」をくらべた場合、装置的には「高応答エアー供給機」というものが追加されている程度です。

「高応答エアー供給機」というのは、いわゆるエアーポンプであろうと思われますので、特に珍しい装置ということではありません。

これがあることでコスト的に割高になるというのは考えにくいことです。

つまり、この究極のエンジンである「SKYACTIV X」は、デミオやCX-3といった大衆車に採用される可能性が高いということが言えると思います。

今後は、この究極のエンジンである「SKYACTIV X」を搭載したマツダのクルマに注目が集まりそうです。

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