時差式信号機で右折するときは非常に危険を伴うことをご存知ですか?

時差式信号機信号機というのは、単純に「青・黄・赤」を表示するだけのものばかりではありません。

矢印の出る信号機もあれば、対向車線とこちら側で信号が変わるタイミングが変化する「時差式」と呼ばれるものがあります。

実は、この時差式信号機が右折のときに非常に危険だということをご存知でしょうか?

実際にこの時差式信号による勘違いが原因で、死亡事故なども起きています。

いったいなぜ時差式信号機が危険なのかについて解説をしてみたいと思います。

時差式信号機のタイプ~後発式・先発式・分離式

時差式信号機と一口にいっても、実はいくつかの種類があります。

一般的なのは「後発式」とよばれるもので、赤から青に変わるときは両方の信号が同時に変わり、青から赤に変わるときに片方の信号だけを先に赤にして、時間差でもう片方を赤にするというものです。

この後発式も、単純に「青・黄・赤」のタイプもあれば、矢印表示と組み合わさったタイプもあります。

これと動作が正反対のタイプが「先発式」で、この場合は両方の信号が同時に赤になり、青信号に変わるときにどちらかの信号だけ先に青になり、時間差でもう片方も青になるというものです。

この先発式タイプの場合、先に青になる方の信号は矢印表示で進行方向を示されるのが普通です。

さらに「右折車分離式」と呼ばれるタイプもあります。

このタイプは、青信号になるときに、片方は普通の青信号ですが、もう片方は直進や左折のみの矢印が表示されます。

そして、対向車線側の信号が赤に変わったタイミングで、矢印から普通の青信号に変わるという、ちょっと複雑なタイプの時差式信号機になります。

このように、時差式信号機にはさまざまなタイプがあるのですが、この中で一番危険なのが後発式のタイプになります。

なぜ後発式の信号機が右折時に危険なのでしょうか?

赤信号右折をしようとする車は、たえず対向車の様子をうかがい、うまくクルマが切れたタイミングで右折を試みることになります。

どうしてもクルマが途切れなかった場合には、仕方なく自分の側の信号機が赤に変わったタイミングで右折をすることになると思います。

このとき、人間の心理として「自分の見ている信号機が赤に変わったのだから、対向車側の信号機も赤に変わったに違いない」と思い込んでしまいがちです。

ところが、その信号機が時差式信号機で、対向車側の信号は青のままだった場合、てっきり止まるとばかり思いこんでいた対向車はそのまま猛スピードで交差点を走り抜けることになります。

考えただけでもゾッとすると思いますが、これが後発式時差式信号機の恐ろしさで、実際にそういった勘違いによって死亡事故も起きています。

「時差式信号機には、時差式という表示があるから勘違いはしないのでは?」と思うかも知れませんが、実は時差式信号機であるにもかかわらず表示のない交差点も存在するのです。

表示がなければ普通の信号機だと思い込んでしまうのは当然のことで、自分の側の信号が赤に変わったタイミングで対向車も停車するに違いないと思い込んでしまうのは、ある意味では仕方のないことといえます。

時差式の表示があっても危険であることに変わりはありません。

時差式の表示がない信号機が危険なのは当然としても、実は表示があったとしても安全とはいえません。

なぜなら、そもそも「時差式」の意味を理解していない人がいる可能性があるからです。

試験に合格して運転免許証を取得したのだから、誰もが知っていて当然と考えるのは間違いです。

運転免許の試験に合格するためには満点を取る必要はありませんから、すべての交通ルールに精通していなくても合格は可能です。

また、時差式信号機のことはまったく知らなくても、たまたま試験にそういった問題が出題されなかったために運よく合格してしまう人もいるでしょう。

仮に、試験を受けたときは覚えていたとしても、人間の記憶力というのはそれほど優秀ではありませんから、時間とともに忘れていってしまうものです。

たとえば、あなたが運転歴10年以上のベテランドライバーだとして、たったいま目の前に運転免許の試験問題を提示されたとしたら、合格点を取る自信はありますか?

また、最近では高齢者の運転が問題になることが多いですが、複雑な形式の信号機を高齢者の方が理解するのは困難な可能性もあります。

交通渋滞の緩和を目的に設置されている時差式信号機ですが、実は非常に危険な信号機であるということがお分かりいただけるかと思います。

先発式の時差式信号であれば安全とは限りません

交差点でぶつかりそうになる車の模型時差式信号機が危険なのは、一般的な「青・黄・赤」の信号であれ矢印表示のタイプであれ、対向車側の信号機が現在どういう表示になっているのか分からないということが危険につながっているわけです。

特に、後発式の時差式信号機のある交差点で、対向車がそのまま猛スピードで直進してくる可能性のあるケースが最も危険であることは間違いありません。

それでは、先発式の場合はどうでしょうか?

対向車が止まっている状態から、先に右折をすることができるわけですから、勘違いによる危険性はないような気がします。

しかし、先発式の時差式信号機であっても、絶対に安全ということはできないのです。

なぜなら、ドライバーによってはフライング発車をする人がいるからです。

つまり、信号で停車しているときに前方の信号を見るのではなく横の信号を見ていて、その信号が赤に変わったタイミングで目の前の信号が青に変わると勝手に思い込んで、見切り発車をしてしまうわけです。

先発式の時差式信号機の場合、右折の矢印が出るのが一般的ですから、それを見たドライバーは素直に矢印に従って右折を開始するはずです。

当然、対向車線側は赤信号なのですが、たまたま最前列にフライングをする車がいた場合、衝突をしてしまう可能性があるわけです。

後発式の場合は、右折をする側の勘違いによって危険が生じることになりますが、先発式の場合は反対車線側のクルマが勘違いをすることで危険が生じることになるわけです。

ただ、先発式の場合、赤信号から青に変わるスタートのタイミングですから、それほどスピードが出ていないために、後発式のように死亡事故につながる可能性は低いと思われます。

このように、後発式であれ先発式であれ、両方の信号機に時間差がある以上、ドライバーに勘違いをさせてしまうことはあるわけです。

右折をする側に過失があるとされた判例

後発式の時差式信号機のある交差点で、右折をしようとしたクルマが対向車線を走ってきたバイクと衝突して、バイクに乗っていた人が死亡するという事故が発生したことがあります。

この事故で、横浜地方裁判所は平成11年3月30日に、ドライバーの過失は認められないとして無罪判決が言い渡されました。

ところが、東京高等裁判所による平成11年12月27日の判決では、対向車線を走ってくるバイクの動きをよく確認していなかったドライバーの側に過失があるとして、禁固1年執行猶予2年の逆転有罪判決が言い渡されました。

平成16年7月13日に最高裁によって上告が棄却され、結局ドライバーの有罪が確定することになりました。

このように、最高裁判所による明確な判決が出てしまった以上、後発式の時差式信号機において事故を起こしてしまった場合、右折をしたドライバーに過失があるということがあきらかになったわけです。

時差式信号機を右折する際には、対向車の動きにはくれぐれも注意をしたいものです。

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