車が走ると音楽を奏でるメロディーロードはどんな仕組みなのか?

音符表示のある道路と山メロディーロードというものをご存知でしょうか?

走行中の車のタイヤと道路との間に発生するロードノイズによって、メロディーを奏でるというものです。

目的としては、ドライバーの居眠り防止や、その地域に関連した曲を使うことによる観光的なアピールなどがあるようです。

ある一定の速度で走ることで、正しいテンポや曲調で聴くことができるため、速度違反の抑止効果などもあるようです。

いったいこのメロディーロードというのは、どういった仕組みでメロディーを奏でるようになっているのでしょうか?

メロディーロードの音程や音の長さのカラクリ

メロディーロードの路面を実際に見てみると、横に細かな溝が連続して掘られていることに気がつくと思います。

この溝のサイズは、幅9mm、深さ5mmとなっています。

このサイズの溝が連続し掘られた上を車が走行することで、メロディーとなって聞こえるわけです。

音をメロディーとして聞かせるためには、音の「高さ」と音の「長さ」を変える仕組みがなくてはいけません。

・音の高さは一定区間の溝の数で決まる

音の高さを決めるのは、道路に掘られた溝の数になります。

音程というのは、1秒間にどれだけ空気が振動するかで決まります。

たとえば「ラ」の音の場合は220Hzなので、1秒間に220回空気が振動すればいいわけです。

制限速度60km/hの道路であれば、クルマは1秒間に16.66m進むことになりますから、この16.66mの区間に220本の横溝を刻めば「ラ」の音がでることになります。

そして「ラ」より高い音程の場合には溝の数を多くし、「ラ」より低い音程の場合には溝の数を少なくすればいいわけです。

ただし、これはあくまでも制限速度である60km/hで走った場合であり、それよりも速いスピードで走れば「ラ」よりも高い音になり、遅いスピードで走れば低い音になることになります。

これは、テープレコーダーを再生するときに、テープのスピードを速くしたり遅くしたりすると音程が変わるのと同じ理屈です。

・音の長さは溝がない区間の長さで決まる

メロディー道路の音程を決めているのは、道路に掘られた溝の数と、走行するクルマのスピードであるということが分かりましたが、それでは音の長さはどうやって決まるのでしょうか?

音の長さは、溝のまったく掘られていない区間の長さで決まります。

つまり、溝の掘られている区間と次の溝が掘られている区間までの、なにも溝が掘られていない区間の長さが音の長さということになります。

たとえば4分音符の溝がない区間の距離を1とした場合、2分音符の場合はその2倍の長さの溝なし区間が必要になるということです。

逆に8分音符の場合には、溝なし区間の距離が0.5ということになります。

このように、メロディーロードの音の出る仕組みというのは、意外にも単純だったりします。

どんな曲の道路でも制作可能なのでしょうか?

音符道路を走る車のイラストメロディーロードの音の出る仕組みが単純だということは分かりましたが、実際にどのような曲であってもメロディーロードにすることができるのでしょうか?

理論的には可能です。しかし、実際に車を走らせることで音をだすわけですから、選曲はある程度制限されることになります。

たとえば、16分音符を使うようなアップテンポの曲は向きません。

ある一定の距離に刻まれた溝を、一定の速度で走るクルマによって音を発生させている以上、こういった制限が出てしまうのは仕方のないところです。

また、高音から低音までの音域の広い曲の場合も、メロディーロードには向かないようです。

道路に刻む溝の数で音程を決めているため、溝のピッチがあまりにも細かすぎたり広すぎたりすると音響効果が良好ではなくなってしまうのです。

そのため、高音から低音までの音域が、せいぜい1.5オクターブにおさまる範囲の曲が選ばれるようです。

どんなところでもメロディーロードにすることが可能か?

道路が音楽を奏でるという、いかにも子供が喜びそうなメロディーロードですが、実際にはそれほど身近に感じない人も多いことでしょう。

これまで一度もメロディーロードを走ったことがないという人も、少なくないかも知れません。

そもそも、メロディーロードはどこでも設置できるものなのでしょうか?

実は、メロディーロードを設置するためには、さまざまな条件があるようなのです。

・なるべく近くに民家がない道路

まず、民家が近くにある道路の場合には、基本的に設置できません。

メロディーロードの音は、かなり遠くまで聞こえるようなので、近くに民家がある場合は苦情につながります。

「騒音ではなくメロディーなら問題ないのでは?」と思う人もいるかも知れませんが、クルマが通るたび朝から晩まで同じ音楽を聞かされたら、それは騒音と同じであり、人によってはノイローゼになってしまうことでしょう。

ドライバーがメロディーを聴くのはそこを通る1回だけですが、近くに住んでいる人は、365日毎日車が通るたびに聴かされることになってしまいます。

実際に、2012年に長野原町北軽井沢地区の国道146号に設置されたメロディーロードは、近くの別荘の住民らからの騒音がひどいという苦情を受けて、わずか1年後には撤去を余儀なくされています。

・一定の速度で走れない道路

メロディーロードは、クルマが一定の速度で通過をすることで音楽が聴こえる仕組みになっています。

そのため、徐行や一時停止をする可能性のある、交差点や横断歩道のある道路は設置に向かないということになります。

また、カーブが多かったり上り下りの勾配がある道路も、クルマの速度を一定に保つのが難しいためにメロディーロードには向かないことになります。

なるべく直線道路に設置するのが理想ですが、もしカーブの途中に設置するのであれば、カーブ曲率半径がR300以上の道路が望ましいとされているようです。

・路面がある程度硬い道路

メロディーロードは、路面に刻まれた溝と車のタイヤによって発生する空気の振動を利用して音楽を奏でることになります。

そのため、クルマのタイヤとの摩耗に耐えるだけの、アスファルトの硬さも重要になるようです。

やわらかいアスファルトの場合ですと、せっかく溝を掘っても数年で摩耗してしまってメロディーが出なくなってしまうことがあるようです。

幅9mm、深さ5mmで掘られた溝によってベストの音響効果が得られるように設計されているわけですから、その溝が摩耗をすることで本来の効果が期待できなくなるわけです。

このように、メロディーロードを設置するためには、さまざまな条件があることがお分かりになったことと思います。

自分が住んでいる近くにメロディーロードをあまり見かけないという人が多いのも、ある意味では当然といえるわけです。

実際にどのような曲が流れるのか?

車に乗る家族と音符イラストメロディーロードは、北は北海道から南は沖縄まで、全国各地の道路に設置されていますが、いったいどういった曲が採用されているのでしょうか?

多くのメロディーロードでは「こいのぼり」「うれしいひなまつり」「おうまのおやこ」「どんぐりころころ」「うさぎとかめ」といった、動揺が多く選ばれているようです。

メロディーも単調で、音域も広くないために、動揺はメロディーロードに最適なのかも知れません。

そんななか、あえて動揺ではなくその地域にマッチした曲を選んでいるメロディーロードもあります。

北海道の標津町にあるメロディーロードには「知床旅情」が使われています。

いかにも北海道らしい曲目で、曲調もスローテンポでメロディーロードには最適な曲といえるでしょう。

水木しげるゆかりの鳥取県境港市に、2012年9月に設置されたメロディーロードの曲目は、そのものズバリ「ゲゲゲの鬼太郎」です。

この道路は制限速度60km/hとなっていますが、あえて50km/hで走行したときによく聞こえるように設計されているようです。

そういった意味では、安全運転にも一役買っているわけですね。

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