どんどん重くなる現代のクルマ~昔の車は本当に軽かった!

天秤にのるミニカー最近のクルマはどんどん重くなってきています。

軽自動車でさえ、車両重量が1tにもなるような車種があります。

こうなると、はたして「軽」と呼んでもいいのかと思いたくなる重量級ぶりです。

たとえば、1970年代~1980年代に若者を中心に人気のあった、トヨタのセリカとかカリーナといった排気量が1600ccクラスのクルマの車両重量が、まさに1t程度でした。

排気量がわずか660ccの軽自動車が、かつての1600ccクラスのクルマと同じ重さになってしまったのです。

いったいなぜ、最近のクルマはこうも重くなってしまったのでしょうか?

昔のクルマは驚くほど軽かった

1958年に富士重工業から発売されたスバル360という軽自動車がありますが、このクルマの車両重量は、なんと385kgでした。

1967年にホンダから発売された、N360というクルマの車両重量は475kgです。

同じく1967年にスズキから発売された軽自動車である2代目フロンテの車両重量は、425kgでした。

いずれも今の軽自動車とくらべると、ほぼ半分の重さということがいえます。

当時の軽自動車は、側溝などに脱輪をしてしまっても、2~3人で「えいっ!」と持ち上げると簡単に脱出することができました。

それほど軽かったのです。

ちなみに、現在の軽自動車を見てみますと、背の高いミニバンタイプであるダイハツタントの場合、一番軽いモデルで920kgありますし、ホンダのN-BOXも軽いモデルで930kgあります。
背の低いハッチバックタイプのダイハツミラでさえも、820kgの重さがあります。

もちろん、軽かったのは軽自動車だけではありません。

1972年にホンダから発売されたシビックのハッチバックは、排気量が1200ccもあるにもかかわらず、その重さはわずかに600kgでしたし、同じく1981年にホンダから発売されたシティも排気量は1200ccですが、車両重量はわずかに655kgでした。

最近の1200cc~1300ccクラスのコンパクトカーを見てみますと、日産マーチの一番軽いモデルで940kgとなっています。

ホンダフィットの最軽量モデルが970kg、同様にマツダデミオが1010kg、トヨタのヴィッツが970kgとなっています。

2000ccクラスのクルマはどうでしょうか?

1968年に発売を開始され、ハコスカの愛称で親しまれたスカイライン4ドアセダンの車両重量は1090kgでした。

2000ccの4ドアセダンなのに、現在の軽自動車やコンパクトカーよりも、ほんの少し重い程度の車重しかありませんでした。

ちなみに、現在発売されているスカイラインの2000GT-tの車両重量は、1,680kgもあります。

このように現在のクルマは、昔のクルマにくらべて圧倒的に重くなっているわけです。

なぜ最近のクルマはこれほど重くなってしまったのか?

計りにのる車のイラスト最近のクルマがこのように重量級になってしまった背景には、安全性能の向上があります。

衝突安全ボディを採用するにあたって、さまざまな補強により剛性を高めたことで必然的にボディそのものが重くなってしまったわけです。

もちろん、ボディそのものが重くなってしまっただけではなく、1970年代にはなかった、さまざまな安全装備が標準で搭載されるようになりました。

急ブレーキ時のタイヤのロックを防止するABSや、エアバッグなどは、いまやどのクルマにもあたり前のようについています。

また、走行中時の静粛性能や快適性を高めるために、さまざまな防音材や制振剤などがボディの各所に埋め込まれるようになりました。

さらに、クルマに装備されている各パーツの電動化も、重量増の一因となっています。

たとえば、ウインドウもかつてはハンドルを回して人力で開けていましたが、いまやパワーウインドウがあたり前です。

左右のドアミラーも、かつては窓から手を伸ばして人力で動かしていましたが、いまのクルマはボタン操作で自由自在に動かすことが可能です。

また、高級車になると、シートを倒したりスライドさせたりするのも電動です。

さらに、ミニバンなどでは、スライドドアの電動化も進んでいます。

かつて手動で動かしていたものを電動化することによって、その箇所には必ずモーターが必要になります。

いまの国産車には、大小さまざまなモーターを合わせると、50個~150個ものモーターが使われているといわれています。

快適さを求めるあまり、その代償として車がどんどん重くなっていってしまったわけです。

重いことによるメリットとデメリットを考えてみる

このように、昔のクルマにくらべてさまざまな理由に重量級化してしまった現在のクルマですが、実際に車の重量が重くなることによるメリットとデメリットを考えてみたいと思います。

・動力性能の低下をハイパワー化でカバー

ガッツポーズをした赤い車のイラスト車重がアップすることによる一番のデメリットとしては、動力性能的に厳しくなるという点があげられます。

もしエンジンの出力が同じだと考えた場合、車重の軽いクルマの方が速く走れるということは容易に想像がつくことでしょう。

そのため、最近のクルマは車重が重くなるのと同時に、どんどんハイパワー化が進みました。

たとえば、先ほどのスカイラインの例で見てみますと、ハコスカの2000GTの出力はわずか100馬力でした。

伝説のスポーツカーといわれたハコスカのGT-Rでも160馬力です。

それに対して、現在のスカイライン2000GT-tは、ターボ仕様ということもあり、211馬力となっています。

ちなみに、現在のGT-Rはまったく別物のクルマになっており、最高出力はなんと565馬力です。

また、ハコスカの時代の馬力表示はグロスであったために、現在のネット表示に直すと、さらに1割~2割は低い数字になるはずです。

このように、ボディの重さをハイパワー化でカバーすることによって、動力性能の低下を補っているわけです。

軽自動車も、スバル360の馬力がわずか16馬力だったのに対して、最近の軽自動車は排気量が660ccと大きくなったこともあり、50馬力以上があたり前になっています。

ターボ車の場合にはさらにハイパワー化していますが、規制もあり最大で64馬力となっています。

・重くなると燃費が悪くなるはずですが

車重が重くなることによるデメリットは動力性能の低下だけではありません。

軽いものを動かすよりも、重いものを動かす方がたくさんのガソリンを消費することになるというのは、容易に想像ができると思います。

つまり、クルマというのは重くなることによって、燃費が悪くなるわけです。

しかし、技術の進歩というのは恐ろしいもので、最近の重量級のクルマは、昔の軽量級のクルマにくらべてむしろ燃費がいいのです。

30年ほど前の2000ccクラスのAT車だと、実燃費はせいぜい6km~7km程度でした。

ところが、最近の2000ccクラスのクルマは、実燃費で普通に10km程度は走ってしまいます。

当時にくらべて、エンジンの燃焼効率が大幅にアップしたことや、キャブレターに変わるコンピューター制御による燃料噴射装置の装備、ATに変わるCVTの登場などが、重くなったクルマの燃費を劇的に向上させていったのです。

本当に技術の進歩というものは素晴らしいものです。

・車重が増えることによるメリットもあります

このように、重量増によるデメリットを技術革新によって次々にクリアーしてきた国産車ですが、実は重量が増えることによるメリットも大きいのです。

まず、先ほども書きましたように、ボディの剛性が高まることによって、衝突した際の安全性が高まりますし、高速走行をした場合の安定性も格段に高まります。

同じ高速道路を100km/hで走るにしても、1970年代の軽量級のクルマと現在のクルマを乗りくらべたら、その安定感には雲泥の差があることでしょう。

また、重量級のクルマになればなるほど、乗り心地が良くなるというメリットもあります。

重量が重くなれば、走行中の慣性によって細かな振動がおさえられるために、軽量級のクルマに乗っているときのようなバタバタ感がありません。

重量級の高級車に乗ると、どっしりとした乗り心地の良さを感じるのは、サスペンションの設定などの影響もありますが、車重が重いこともその一因となっているのです。

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